八百文字程度の映画ブログ

古今東西膨大な数の映画から、あなたが観たい映画を見つけるお手伝いが出来ればと思い、つづります。

「エイプリルの七面鳥」家族は他人と言うけれど、やっぱり家族なんだよ

 

こんな方におススメ!

  1. 最近、家族と疎遠になっている
  2. 感謝祭って何?
  3. 赤毛女子が好き

 

はじめに

上映時にどういう広報をしたのかは分かりませんが、自分が観たのは行き着けの名画座でした。後にDVDやサントラも購入するほど、大好きな映画なのですが、これを観たことある方と未だに出会ったことがありません。

ある映画好きに紹介したところ、「嗚咽する」ほど感動していました。それほどの名画であっても、知られなければ無いのと同じ。このまま埋もれるには、あまりにもったいない一本です。

 

見所1.エイプリルが可愛い

家族を出迎えるために奮闘するエイプリルのパートでは、ユニークな住人たちを巻き込んでディナーを用意するのですが、その奮闘ぶりが、かわいい。とくに階段にたたずんで「ちがうもん」とつぶやく姿は、キュンとくる……いえ、それだけではなく、母親との関係性が象徴される姿でもあって、表現としても上質なワンカット。

 

見所2.家族がキャラ立ちし過ぎ

主人公エイプリルと家族、特に母親との関係が軸となる物語ですが、複雑な家族関係を、奮闘するエイプリルパートの裏で、限られた尺で上手いこと観手に理解してもらう必要があります。

エイプリルの所へ向かう道中で、今まで様々な問題をはらんできた家族の関係性を、不必要な言葉なく見え隠れさせる演出がうまいです。途中で、妻が死んだと思って涙する夫の姿には、胸詰まるものがあります。

 

見所3.セリフ無しの十数分

過程がきちんと描けていれば、ラストはセリフなどなくても良い、それが充分に発揮されるラストです。母親がファミレスのトイレで女の子を鏡越しに見つめるシーンから、セリフは一切ありません。でも、そこでの母親の心が手に取るように分かります。

ようやく母親とエイプリルが出会うカットでは、シャッター音と共に数枚の止め絵を使ってきます。これが効果的過ぎで、心憎くも深い余韻を残してくれるのです。

 

おススメ度…100%

独特の切り口を持った完成度の高い映画で、家族ものが好きな方には、そのライブラリーにぜひ加えて頂きたいです。サントラもおススメですよー。

 

(2003年、アメリカ)